2019年1月23日 Posted by 編集部
この記事では、中古自動車オークションのセリの仕組みについて解説します。中古自動車業界の裏側を知りたい方や、より深くオークション相場状況を理解したい方におすすめです。
このサイトでは、弊社株式会社ENGの取扱車両であるアルファードやヴェルファイアなどのオークション相場状況を発信しています。その際、セリの状況についてお話する場合がありますが、これまで詳しくセリの仕組みについてご説明をしてきていなかったかもしれません。そこで、この記事では改めて、オークションとセリの仕組みについて細かく解説していきます。
まず中古自動車オークションについてご説明していきます。中古自動車オークションは業者のみが参加出来る会員制オークションです。非会員の業者の方や、一般の方は参加することは出来ません。
オークション会場は、北は北海道から南は沖縄まで全国各地にあり、ほぼ毎日複数箇所で同時にオークションが開催されています。軽自動車から普通自動車、ミニバン、トラックなど様々な種類の車両が扱われており、会場によっては1日の出品台数が1万台を優に超えています。
このオークションにおける流通価格である「相場価格」は非常に重要で、この相場が中古自動車業界の値段の基準になっています。
例えば、中古車販売店はオークションで買った金額、つまり相場価格に利益を載せて、中古車を購入されるお客様に販売しますし、中古車買取店や輸出車両に特化して買取をしている会社はオークションで売れる金額、つまり相場価格から自身の利益や手数料を引いた額で、お客様から中古車を買取ります。
オークション相場は、人気、新しい車種の発売、海外情勢、為替など、様々な要因で日々変化しますが、その変化に伴い中古車の販売価格、買取価格も日々変動しています。
このように、中古自動車業界の中心にオークションがあり、中古車販売店、中古車買取店の値段が、日々変動するオークション相場によって決まっています。
オークションとセリ。意味としては同じ言葉になりますが、1台の車の売買については「セリ」の方が(社内の呼び方の慣れかもしれませんが)、しっくりきますので以降そのように呼びます。
セリのプレイヤーとしては、車を売る側の出品者と、買う側の応札者がいますが、応札者がセリに参加する方法は2つあります。1つはオークション会場へ行き現地でセリに参加する方法。もう1つはインターネットを経由してセリに参加する方法です。
ほぼ毎日複数のオークションが全国各地で同時開催されていることから、人員、時間、コストなどの面で、現地ではなくインターネットを経由してセリに参加している会社が多くなっています。ENGもインターネットを経由でセリに参加しています。
パソコンで専用アプリを立ち上げることで、リアルタイムでセリに参加することが出来ます。
オークション開催日の前日、もしくは当日の朝に、各会場で出品される車両が確定されます。セリに参加する業者は出品される車両の一覧を見ることが出来ますので、欲しい車をピックアップしてその日にセリに臨みます。
「レーン」毎にセリの順番が決められており、1台ずつ順にセリが行われていきます。会場によってレーンが1レーンの会場から12レーンある会場までありますので(2019/1現在)、同一会場内でもレーン数だけ並列してセリが行われることになります。
車両毎にセリの開始予想時間が公開されていますが、セリの進行状況によって、開始時刻は前後しますので、欲しい車については、アプリのアラーム機能を活用して、セリを逃さないように注意しています。
順番が回ってくるとセリがいよいよ始まります。
セリは出品者が決めた「スタート金額」から始まり、自動で値段が上がっていきます。その車が欲しい応札者は、自動で上がっていく値段を見ながら欲しい金額の間はボタンを押して(応札)、欲しいことを出品店に知らせます。
出品店は、売ってもよいと考えている希望金額まで、応札があると「売り切り」という合図を出します。この金額を「売り切り金額」と言います。売り切りをつけた後は、自動で金額が上がらなくなり、応札者が応札した分だけ、値段が競り上がっていくようになります。最終的に、一番高い金額をつけた応札者が落札をすることが出来ます。
売り切りをつけた後、金額が競り上がるためには、2人以上の応札者が必要ですので、1人しか応札していなければ、売り切りをつけた金額で落札となります。このように、売り切りをつけた金額で落札になることがあるので、出品者は、欲しい利益や、原価などを考慮して売り切りをつけることになります。
応札が出品店の希望金額に届かなかった場合、「流札」となりセリが不成立となります。この時の最終応札金額を「流れ金額」と言います。
流札となると、出品者は翌週のセリに再度出品するか、車を引き上げるかの判断をすることになります。どちらにしても手数料や手間がかかってしまうことになりますので、出品者としては出来れば避けたいところです。
しかし、安く売り切りをつけると赤字になってしまう可能性がありますし、ギリギリまで売り切りをつけるのを引っ張った結果、応札がなくなってしまうと売り切りをつけることができなくなってしまいますので、「売り切り金額」の設定は出品者の腕の見せどころです。
ちなみに、売り切りの合図は、予め金額を設定して自動で出すか、セリの様子を見ながら手動で出すか、どちらかになります。
応札者は出品者がいくらで「売り切り」をつけようとしているかはわかりません。応札者としては出来るだけ安く買いたいところですが、出品者が売り切りをつけてくれないと、いくら欲しくとも落札することが出来ません。出品者が売り切りをつける前にどこまで応札するかは、出品者と応札者の駆け引きになります。
また、売り切りをつけた後は、出品者はセリを見守ることしか出来ません。そこからは、いくらで落札出来るか応札者同士の戦いになります。
この一連の流れが、1台につき数秒から数十秒、どれだけ遅くとも数分で完了します。たったこれだけの時間で、何十万円~何百万円もの車両の取引が行われますので、少し驚きです。1秒ボタンを押し遅れるだけで、欲しい車を買い逃してしまうことになりますので、気が抜けません。
多くのオークション会場で、セリが流札になった後の「後商談(あとしょうだん)」という制度を採用しています。
セリの結果を受けて出品者がいくらからであれば交渉に応じますという「商談開始金額」を提示します。その金額以上でも欲しい応札者が商談に申し込み、お互いに「いくらでどうですか?」と交渉を行います。ここで交渉成立すれば、「商談落札」となります。
後商談はオークション会場を介して行うことになります。
実は、後商談で商談落札になる車両も少なくありません。そのため、後商談を見越して、セリの応札金額や売り切り金額などの戦略を立てている方もいますので、そのあたりの駆け引きもオークションの醍醐味です。
いかがでしたでしょうか?中古自動車オークションのセリの仕組みについて解説をしました。これからもオークション相場をお伝えする際に、セリの状況についてご説明する場合があるかと思います。その際に、理解を深めて頂けるように、この記事がお役に立てば幸いです。
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